【2025年補助金】申請に向けて今からできる3つの準備

3分でわかる補助金ガイド【2025年補助金】

現在、全国規模の補助金は目立った新規募集はない状況ですが、本日11月29日に令和6年度補正予算案が閣議決定され、今後の補助金の動向が見えてきました。来年の補助金申請に備えて今から準備を進めておくことで、採択率を高めることにつながります。本コラムでは、具体的な準備ポイントを3つご紹介します。

目次

1.事業計画の検討を進める

補助金の有無に関わらず、事業計画は事業を円滑に進める上で非常に有用なツールです。補助金採択率を高めるためのテクニック的要素も存在しますが、まずはこの事業計画自体の具体性・確度・実効性を高めることが本質的に重要であるといってよいでしょう。
補助金獲得を見据えた場合も、公募が始まってから検討をはじめても、期限までに詳細を詰め切れないことが少なくありません。昨今、補助金の採択率は低下傾向にあり、検討に時間のかかるポイントをどれだけ具体化しておけるかが、成否を分けるポイントの1つにもなりえます。特に、以下の要素については予め検討や具体的な取り組みを進めておくことで、申請段階で確度の高さをアピール材料にすることができるようになりますので、採択率の向上につなげられます。

  • 具体的な事業の座組:連携パートナー集めや具体的な交渉が進んでいる状態
  • 顧客獲得の確度の高さ:ターゲット顧客の選定が済み、販売に向けた話がまとまっている状態
  • 投資内容:設備などの投資項目と金額の規模感・スケジュールが具体化できている状態
  • 人材育成・賃上げ計画:事業遂行に必要な人員の確保や、加点要素になりやすい賃上げにめどが立っている状態

2.使えそうな補助金に目星をつけておく

補助金にはさまざまな種類があります。自社の事業内容や目的に合ったものをあらかじめ調べておくと、準備がスムーズになります。この記事を執筆している2024年11月29日時点ではまだ確定していないものの、閣議決定された補正予算案をみると、以下の補助金については来年も継続となることが濃厚といえます。

【2025年に継続の可能性が高い補助金】

  • 経産省の補助金
    • ものづくり補助金
    • 事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)
    • 省エネ補助金
    • 小規模事業者持続化補助金
    • 大規模成長投資補助金
    • IT導入補助金


上記以外にも、例えば環境省のエネルギー対策特別会計(エネ特)の補助事業1(CO2削減・資源循環関連)や、総務省の「ローカル10,000プロジェクト」など、投資の用途次第では有用な補助金も継続される可能性があります。

補助金選びは、自社の事業計画に最適なものを見つけることが第一歩です。どの補助金が自社に適しているか迷った際には、専門家に相談することで選択肢を明確にすることができるでしょう。

3.加点要素を整えておく

補助金の採択率を上げるためには、いわゆる「加点要素」への対策も大切です。以下のような計画や取り組みを進めておくと、補助金によっては審査の際に加点を得られる場合があります。

【主な加点要素】

  • 経営力向上計画2
    来年度以降の継続は未確定ですが、税制優遇や融資保証枠の拡大などのメリットが受けられる
  • 事業継続力強化計画3
    災害時の事業継続性を高める計画を策定
  • パートナーシップ構築宣言4
    取引先との共存共栄を目指す取り組みや下請企業との望ましい取引慣行の遵守について宣言

これらの加点要素は、単に補助金採択率を高めるだけでなく、それ自体も有用です。例えば、上記の経営力向上計画に認定されることで、税制優遇措置が得られたり、信用保証枠の拡大といった金融支援措置が得られたりといったメリットが得られます(但し、現行制度は2024年度末までとされているため、延長の有無についてはこちらも注視が必要です)。

【まとめ】補助金利用を成功させるために

採択率を高めるために

採択率を高めるためには、今から計画的な準備を進めることが重要です。事業計画や加点要素を整え、審査で高い評価を得られるよう工夫を重ねることが求められます。その一方で、申請の過程で不明点が生じたり、制度をうまく活用する方法が分からない場合もあるかもしれません。そうしたときには、専門家に相談することが最善の解決策となります。

補助金利用時の注意点

補助金制度は、社会情勢や政策の変化に伴い見直される可能性があります。そのため、最新情報を常に把握し、柔軟に対応できる準備が必要です。また、補助金は事業を後押しするための手段であり、事業そのものの中心ではありません。補助金の採択結果に関わらず、事業が計画通り進むよう実行可能な計画を立てることが重要です。補助金を待つことで事業全体の停滞を防ぐためにも、補助金に依存しすぎない姿勢が必要といえます。

本当に大切かつ有効なのは、補助金の採択/不採択という単一的な視点ではなく、先ほど例に挙げた経営力向上計画などの財務面の他の施策の活用も念頭に入れながら、事業計画自体を練り上げ、実行・振り返りを繰り返しながら事業を磨き上げていくことです。その一環として補助金を位置付けられれば、計画的に活用していくことができるでしょう。

当事務所では、認定経営革新等支援機関として、補助金の申請に関する最新情報を踏まえながら、事業計画のブラッシュアップやその他の公的制度の活用などのトータルサポートをご提供しています。2025年の補助金の活用を検討されている方に、より包括的なご提案が可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。全力でお手伝いさせていただきます。

  1. 令和7年度概算要求 脱炭素化事業一覧 – エネ特ポータル|環境省 ↩︎
  2. 経営力向上計画策定の手引き | 中小企業庁 ↩︎
  3. 事業継続力強化計画 | 中小企業庁 ↩︎
  4. 「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト ↩︎

著者プロフィール

MarkTrine 代表 池尻直人

企業の”信頼を対価に変える”専門コンサルタント。
社会・顧客にとって価値のある取り組みを続ける企業が、正当な対価を得ながら成長を実現していくことが、より良い未来社会をつくるために必要不可欠だと考えている。
そのための具体的な手法を研究・体系化し、志を同じくする企業の支援に情熱を注いでいる。

前職は株式会社ブリヂストンにて約16年間勤務。マーケティング、サステナビリティ、グローバル経営戦略、新規事業開発等と、経営の中核に携わる業務を幅広く経験した。
加えて中小企業診断士としても、社会・顧客・自社の価値を創造できる三位一体の経営戦略・計画の立案を得意とし、30社以上を支援してきた経験を持つ。合計獲得補助金金額は約9億1,350万円 (2024年6月4日時点)。
2023年にトラスタライズ総研株式会社を創業し、代表取締役に就任。
1983年生まれ、東京都小平市出身。一橋大学院商学研究科経営学修士コース(HNBA)修了。
中小企業診断士(認定経営革新等支援機関)、米国公認会計士(ワシントン州)、環境省認定制度 脱炭素アドバイザー アドバンスト。

池尻-直人(いけじり-なおと)

著者プロフィール

MarkTrine 代表 池尻直人

企業の”信頼を対価に変える”専門コンサルタント。
社会・顧客にとって価値のある取り組みを続ける企業が、正当な対価を得ながら成長を実現していくことが、より良い未来社会をつくるために必要不可欠だと考えている。
そのための具体的な手法を研究・体系化し、志を同じくする企業の支援に情熱を注いでいる。

前職は株式会社ブリヂストンにて約16年間勤務。マーケティング、サステナビリティ、グローバル経営戦略、新規事業開発等と、経営の中核に携わる業務を幅広く経験した。
加えて中小企業診断士としても、社会・顧客・自社の価値を創造できる三位一体の経営戦略・計画の立案を得意とし、30社以上を支援してきた経験を持つ。合計獲得補助金金額は約9億1,350万円 (2024年6月4日時点)。
2023年にトラスタライズ総研株式会社を創業し、代表取締役に就任。

1983年生まれ、東京都小平市出身。一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース(HMBA)修了。
中小企業診断士(認定経営革新等支援機関)、米国公認会計士(ワシントン州)、環境省認定制度 脱炭素アドバイザー アドバンスト。

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