3分でわかる補助金ガイド 新事業進出補助金(第1回公募)

3分でわかる補助金ガイド新事業進出促進補助金

【最大9,000万円】中小企業の新市場進出を後押しする「新事業進出補助金」とは?
制度概要と採択されるための秘訣を分かりやすく解説

2025年4月22日に公募が開始された「中小企業新事業進出促進補助金」は、従来の「事業再構築補助金」を引き継ぐ形で新たに創設された制度です。
本補助金では、最大9,000万円までの補助を受けられる可能性があり、対象経費には建物費やシステム構築費、広告費まで幅広く含まれる点が特長です。
この記事では、制度の概要と採択されるためのポイントを初心者にもわかりやすく解説します。新市場でのビジネス展開をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

新事業進出補助金とは

新事業進出補助金は、中小企業が既存事業とは異なる新たな事業分野に挑戦することを支援する制度です。企業の新市場開拓や高付加価値な製品・サービスの創出を通じて、生産性向上や持続的な賃上げの実現を目指しています。
本制度では、単なる既存事業の延長ではなく、「新規性のある製品・サービス」かつ「新たな顧客の開拓」を伴う取り組みが求められます。

新事業進出補助金の概要

補助対象者・要件

日本国内に本社および補助事業実施場所を持つ中小企業等が対象で、以下の要件を満たす3~5年の事業計画に取り組むことが必要です。
※補助対象外事業者や過去の補助金実績による除外規定があります。詳細は「公募要領」ご参照ください

1)「新事業進出要件」をすべて満たす

新市場進出要件

1.新製品過去に自社で製造・提供していない製品・サービスであること

2.新市場既存事業と異なる顧客層・市場への進出であること

3.新事業売上高構成比:新製品等の売上高が総売上高の10%以上であること
※この他にも新事業売上高要件を満たす場合があります。詳細は公募要領をご確認ください。

なお、本制度における「新事業」は、公募開始日時点(=令和7年4月22日)以降に初めて取り組む事業である必要があります。それ以前に販売・宣伝を行っている場合、新製品とは見なされないため注意が必要です。
※詳細は、新事業進出指針の手引きをご参照ください。

2)付加価値・賃上げ・ワークライフバランス要件を満たす

さらに、以下の要件も満たす必要があります。専門的かつ制度的な理解が求められるものもありますので、内容の整理や数値計画の策定が難しい場合は、補助金支援に精通した専門家の活用も視野に入れることがおすすめです。

1.付加価値額の年平均成長率:4.0%以上

2.賃上げ要件:一人当たり給与支給総額の年平均成長率を地域基準以上に増加、または、給与支給総額の年平均成長率を2.5%以上増加(未達の場合、補助金返還義務あり)

3.事業場内最低賃金:毎年、地域最低賃金+30円以上(未達の場合、補助金返還義務あり)

4.次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表両立支援のひろば

このほかにも、金融機関等から資金提供を受ける場合の金融機関要件、賃上げ特例を受ける場合の賃上げ特例要件などがあります。
詳細は公募要領をご確認ください。

補助額・補助率

  • 補助率:1/2
  • 補助上限額:従業員数によって以下のとおり規定されています。
従業員数補助上限額(通常)賃上げ特例適用時の上限額
20人以下2,500万円3,000万円
21〜50人4,000万円5,000万円
51〜100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円

補助対象経費

補助対象経費は以下の通りです(建物費または機械装置・システム構築費のいずれかは必須)

  • 機械装置・システム構築費
  • 建物費
  • 運搬費
  • 技術導入費・知財関連費用
  • 外注費・専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 広告宣伝・販売促進費

採択されるためのポイント

本制度の審査は、提出された申請書類をもとに、定量的・定性的な観点から総合的に評価されます。申請にあたっては、公募要領に記載された審査項目に則り、説得力のある事業計画書を作成することが不可欠です。

主な審査項目

新事業の適格性、新規事業の新市場性、高付加価値性、新規事業の有望度、事業の実現可能性、公的補助の必要性、政策面など

さらに、本制度には加点項目が設けられているため、該当する場合はその点数を得られるように準備するとよいでしょう。

主な加点項目

パートナーシップ構築宣言加点、くるみん加点、えるぼし加点、成長加速化マッチングサービス加点など

また、一定の審査基準を満たした事業者を対象にオンラインの口頭審査が実施されます。申請事業者自身が受審することになりますので事前準備も重要です。

公募スケジュール(第1回公募)

4/24現在、以下のスケジュールが公開されています。最新情報は事務局ホームページでご確認ください。

項目日程
公募開始2025年4月22日(火)
申請受付2025年6月頃(予定)
申請締切2025年7月10日(木)18:00
採択発表2025年10月頃(予定)

まとめ

本制度は単なる既存事業の拡張ではなく、中小企業がこれまでに取り組んだことのない新製品・新サービスを、新たな市場に向けて提供する取り組みを支援するものです。
以下のような「新たな挑戦」に取り組む中小企業は本制度を活用できる可能性があります。

  • これまで自社で製造・提供したことのない新しい製品やサービスを開発・販売したい
  • 既存事業とは異なるニーズや属性を持つ、新たな顧客層に向けて事業を展開したい
  • 一般的な価格帯や機能を超えた、高付加価値な製品・サービスを提供する新事業を立ち上げたい

制度を活用するためには、要件を正確に理解し、事業の実現可能性や波及効果を根拠を持って示すことが不可欠ですが、実際には次のようなお悩みをお持ちの経営者様も多くいらっしゃいます。

自社の新事業が要件を満たしているか確信が持てない
売上高や付加価値額の目標をどう設定すべきかわからない
申請書類や口頭審査の準備に不安がある

そのような方は、補助金申請支援の専門家に相談することも一つの方法です。
当事務所では初回相談を無料で承っております。制度の活用をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。

著者プロフィール

MarkTrine 代表 池尻直人

企業の”信頼を対価に変える”専門コンサルタント。
社会・顧客にとって価値のある取り組みを続ける企業が、正当な対価を得ながら成長を実現していくことが、より良い未来社会をつくるために必要不可欠だと考えている。
そのための具体的な手法を研究・体系化し、志を同じくする企業の支援に情熱を注いでいる。

前職は株式会社ブリヂストンにて約16年間勤務。マーケティング、サステナビリティ、グローバル経営戦略、新規事業開発等と、経営の中核に携わる業務を幅広く経験した。
加えて中小企業診断士としても、社会・顧客・自社の価値を創造できる三位一体の経営戦略・計画の立案を得意とし、30社以上を支援してきた経験を持つ。合計獲得補助金金額は約9億1,350万円 (2024年6月4日時点)。
2023年にトラスタライズ総研株式会社を創業し、代表取締役に就任。
1983年生まれ、東京都小平市出身。一橋大学院商学研究科経営学修士コース(HNBA)修了。
中小企業診断士(認定経営革新等支援機関)、米国公認会計士(ワシントン州)、環境省認定制度 脱炭素アドバイザー アドバンスト。

池尻-直人(いけじり-なおと)

著者プロフィール

MarkTrine 代表 池尻直人

企業の”信頼を対価に変える”専門コンサルタント。
社会・顧客にとって価値のある取り組みを続ける企業が、正当な対価を得ながら成長を実現していくことが、より良い未来社会をつくるために必要不可欠だと考えている。
そのための具体的な手法を研究・体系化し、志を同じくする企業の支援に情熱を注いでいる。

前職は株式会社ブリヂストンにて約16年間勤務。マーケティング、サステナビリティ、グローバル経営戦略、新規事業開発等と、経営の中核に携わる業務を幅広く経験した。
加えて中小企業診断士としても、社会・顧客・自社の価値を創造できる三位一体の経営戦略・計画の立案を得意とし、30社以上を支援してきた経験を持つ。合計獲得補助金金額は約9億1,350万円 (2024年6月4日時点)。
2023年にトラスタライズ総研株式会社を創業し、代表取締役に就任。

1983年生まれ、東京都小平市出身。一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース(HMBA)修了。
中小企業診断士(認定経営革新等支援機関)、米国公認会計士(ワシントン州)、環境省認定制度 脱炭素アドバイザー アドバンスト。

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